だいぶ前に観たのですが、改めて観てもやっぱり良かった。元々はインターネットで配信されたショートシリーズのアニメ作品で、口コミで広がったのだそうです。 新作シーンを加えた完全版として劇場版が制作されるなんて、面白い作品の広まり方のお手本みたい。もしも私達の世界が、人間かアンドロイドか見分けがつかない『イヴの時間』の世界観のようだった場合、自分はどんな考えを持つのだろうかという不安。観ている間中、そんなことが頭の中を巡りました。
作品として楽しむだけの今とはどんなふうに違うのかな。何も変わらないなんてことはないと思うけど、そもそも不安を感じた理由はなんだろう。
以前この作品を観たのは10年ほど前だったと思います。その時は映画『A.I.』を思い出しましたが、今回連想したのは数年前発売のゲーム『Detroit: Become Human』でした。 決定的に違う部分はあるものの、どちらも外見では人間と見分けが付きづらい精巧なアンドロイドが生活の中に居る世界観。 やはり賛否は分かれ、否定派や過激派も居て、キャラクターやその状況によっては機械感が強かったりもする。
役割。アンドロイドが明確な目的をもってデザインされる点はどの作品も共通していて、ほぼ必ず役割について描写があります。『イヴの時間』も同様。 それなのに、『イヴの時間』は他の作品とは違うように感じる不思議。
作中には『ロボット法』という法律があるのですが、それに反しているとわかっているからひた隠しながらも、感情を持ち、考え、会話を楽しみ、主の為に自分の不足分を補おうと努力するような、アンドロイドにはないと思っていた性質が描かれていることで、観ているこちらの感覚にバグが起こったりしたのかな。 作中の、人間とアンドロイドを区別しないという店内ルールのある『イヴの時間』というカフェの空間が、観ているこちらの感覚をもリセットしてくれるからかな。だからこそ苦しく感じるシーンがあったりするけどね・・・。それでも、もし『イヴの時間』のような場所があったら働いてみたい気もします。常連になるよりも、迎える側になりたい。
ハウスロイドとその主である少年を中心に物語が進んでいくのですが、『イヴの時間』『主人公の家』『学校』など、場面によるそれぞれの関係性が、時折切なさをうんだり。
『主人公の家』で、毎回画面のどこかに居る主人公のお姉さんも面白いキャラクターなのですが、彼女がバランサーとなって、『イヴの時間』からの切り替えに戸惑うハウスロイドと主人公の間の微妙な空気を払拭しつつ、ハウスロイドに対する考え方が家族でもそれぞれ異なる事を分かり易くしています。
『イヴの時間』へ集う者同士の交流で、人間もアンドロイドも少し解けて柔らかくなるようにも感じますが、残酷さと隣り合わせの危うさも含んでいるような・・・。 お互いが人間かアンドロイドかわからない状況での関係や観察の展開、個人的には珍しいと感じたキャラクターの映し方なども含めたカメラワークや光彩、会話や音の間も含めて、『あっという間』と感じさせる要素も満載です。
こちらは、ウェブ版『イヴの時間』全6話がHD画質・オーディオリニューアルで完全収録されたもの。購入を悩んでいるので貼っておきます。
今回久々に視聴して、SF作品は色褪せないんだな~なんて思ったり。もし少しでも興味があれば、是非観て欲しいな~。『アンドロイド』という言葉に、私はOSや改良型人型ロボットというイメージを持っていたのですが、フランスの作家ビリエ・ド・リラダンの長編『未来のイヴ』に登場する、人造人間を指す言葉だそうです。お店の名前はここからなのかな。
とはいえ、『PLUTO』の天馬博士みたいに、亡き息子を模してアンドロイドを製作するなんて事が当たり前になってしまったら、精神面に問題を起こしそうな気もする。それこそ、作中で描かれていた社会問題、『ドリ系(Android Holic/アンドロイド精神依存症)』のような。
最終更新2025.11.23
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