祖母は、毎年大晦日の日に卵酒を大量に拵えて、正月に挨拶に来た方々に差し上げていました。卵酒欲しさに挨拶に来るような人もいたくらいです。家の中で私だけがその作業を手伝い、あの大きな鍋を、底が固まらないように混ぜ続けていました。小さい頃は椅子に立って。良い思い出のように聞こえるこの辺で、思い出話はやめておこう。
毎年祖母が作っていたので、「買うもの」という認識がなく、初めて店頭で見た時の衝撃は未だに覚えています。それでも、様々な卵酒を試してみて、祖母の卵酒が最も好みだと思うに至ったので、嫌な記憶を押しやって、毎年作り続けています。
分量を記録してこなかったので頭になかったのですが、次に作る時に覚えていたら、実際の分量も記録しておこうかな。今回は卵が若干強くなったのですが、原因はおそらく黄身。来年はLサイズの卵を使って白身の配分が多くなるようにしようと思います。我が家はMサイズの卵が普段使いなので、卵酒用にLサイズを買うのを忘れないようにしよう。あとは、表面の気泡が物語っているように、お湯から外すのが遅れてとろみが付き過ぎたので、これはもう気を付けるだけ。
祖母が亡くなる前、材料のだいたいの配分を教えてもらったメモがあるので、あまり悩むことなく作れていますが、祖母は計量もせずに毎年同じ味にしていたのだから、そこは何十年と作り続けた人だけが到達できる域。
基本的にはメモの配分から大きくずれないように気を付けつつ、作り方に変更点も加え、味は違っても毎年作り続けています。変更点は以下3つ。
- 湯煎
- 酒だけ
- 砂糖の種類
1. 湯煎
厚手の鍋で大量に、それを3回分ほど作っていた祖母は、底が固まらないように最善の注意を払っていましたが、少量だと湯煎の方が火の入りが緩やかで気楽。分量の関係で祖母には出来なかったのかもしれません。
2. 酒だけ
祖母の作り方自体、昔々に勤め先の病院で先生から教わった作り方で、元々は水が入らなかったそう。祖母自身がお酒に強くなかった為、途中から水を加えたそうです。祖父はお酒だけの卵酒が好きで、水を加えたものを味見させると機嫌を悪くしていた事も覚えていたし、私もお酒だけの方が好き。なので、元の作り方にしました。そもそも「だいたいの配分」なので気楽なもの。
3. 砂糖の種類
最初のうちは、卵酒用に上白糖を買っていましたが、余りを消費できない。なので、いつでも家にある甜菜糖に。仕上がりの色が若干濃くなり、優しい甘さ。
あと、お酒は純米酒。高すぎない位のお酒の方が飲みやすく安定した仕上がりになる気がします。お高めのお酒を使うと、酒自体の香りが残りすぎる気がする。旦那さんは、お酒の銘柄による香りの違いを楽しんでいますが、最近やっと日本酒を飲めるようになった私には、まだまだ飲みづらい。とは言え、引っ越し1年目にはその土地のお酒で作るのが恒例。こんな事をしていれば同じ味は目指せないけれど、作る事自体が続けば良いなと思っていて、時々祖母の味に近い卵酒が出来たら儲けもの。
土地の日本酒がない都道府県もあるかもしれないと調べたら、鹿児島県で40年ぶりに清酒造りが再開されたという、2016年の記事を見つけました。興味のある方はどうぞ。
皆様が穏やかに新年を迎えられますよう
お祈り申しあげます