とっちらかんと

~迷子の寄り道~

【海の上のピアニスト / The Legend of 1900】

何年ぶりだろう。でも今回は、初めての「イタリア完全版」。

イタリア完全版から相当カットされた、アメリカで公開された時の状態がDVDになっているそうなのですが、私が過去に視聴したのは後者。完全版の方が好きという作品もあるのですが、今作に関してはカット後の方が好み。カットされるにはカットされる理由があるな~と納得しました。ただし、もしもこれが舞台という事なら、イタリア完全版の方が、より楽しめると思います。

作品にもよりますが、我が家ではだいたいの作品をちょこちょこ話したりしながら視聴します。今回、旦那さんは初めての視聴だったのですが、私は以前観た時と比較しながらの視聴になったので、「ここ違った」という申告をしながら観進める事に。

旦那さんの仕事や趣味の方向を考えると、この作品を視聴していないのはちょっと驚きましたが、私がサントラを持っているせいか、「聞いた事ある」曲はちらほらあったみたい。聞きたかった曲に限ってサントラには含まれていなくてがっかりしたのも良い思い出。

原作は独白劇という事ですが、演出もしっかり沿っています。聞き手として楽器屋の店主が居る。これが舞台なら、聞き手は観客で成立しそうな雰囲気なんです。

作品名:海の上のピアニスト / The Legend of 1900

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

製作年:1998年
キャスト:ティム・ロス 他
 

感想が分かれる映画のようですが、ノンフィクションという訳でもないのに随分厳しいな~と思ってしまう。

とは言え、実在の人物がそのままモデルになっているキャラクターも登場します。ジャズピアニスト、ジェリー・ロール・モートン。作中では、主人公にピアノバトルを挑んで船に乗り込んで来るのですが、「ジャズの創始者と自称する」など自己顕示欲が強く、言動も派手な自信家。しかも、ご本人に非常に近く描かれていたそうで、驚愕です。

このピアノバトル、2人の対比が面白い。全体的にジェリーからの一方通行に終始します。ジェリーは侮辱されたように感じたかもしれないけれど、それさえ見当違い。感情を露にしたところで、ぶつかる先もない。クスっとくる場面でした。

 

さて、自分の好きなシーンを書くとネタバレにごく近づくので諦めて、この作品で特に意見が分かれそうなエンディングについて、私の受け止め方を書いておこう。

トランペット奏者・マックスが、自責も含めた自身の気持ちを消化させる為に脳内で創り上げたのが、あのラストシーンかな、と。

「万が一にも生きて居てくれたら・・・」という想いと、無理やりにでも主人公を船から降ろさなかった事で続く後悔を慰める為に、「主人公自身の意思で船に残る選択をしたのだ」と自分に信じ込ませたい。とかね。ラストシーンの主人公は、船の傷みに対して汚れ方が軽いというか、綺麗すぎる。それは、マックスのイメージの中の主人公に対する希望のような描写だからかな、と。

サントラだけでも、なんというか、作中の表現を使うと「邪魔しない音楽」という印象です。

実はDVDは持っているので、カットされたシーンの答え合わせも兼ねて、今度はDVDを観ようという話になっております。ディスプレイごとに両方並べて観るのも面白そう。

今のところ、U-NEXTでは今月いっぱいで配信終了ですが、

prime videoでは、引き続き、レンタル・購入可能のようです。ぜひに。