西谷と情報を寄せ集めた事で疑問は深まったけれど目的地ははっきりしました。まずは料亭街『椿園』へ向かうべく、大きな声で元気よくチェックアウト申請する西谷ですが、ビリケンさん達からの反応がありません。怪訝そうな表情のまま檻の扉に触れると、鍵は開いていました。なんとも不気味な状況ですが、先を急ぐ2人ですからそのまま檻から出ます。ちゃんと檻の扉を閉める真島さんに、なぜだかちょっと笑えるのですが、「出るでぇ!」と奥に向かってもう1度声をかける西谷が、これから2人でしようとしている事を考えて、ビリケンさんに会っておきたかったのかな~とかちょっと思ったり。真島さんを諭した位ですから、危険である事は百も承知なわけです。
檻から出ると歩き出す2人でしたが、後方からの発砲音に、ほとんど反射的に振り返ります。そこへ、足元がおぼつかない様子で現れるビリケンさん。逃げるように一言告げると力尽き、前方へと倒れ込みます。目の前で起こっている事に一瞬呆けるも、すぐに、血を流して動かないビリケンさんに駆け寄ろうとする西谷でした。この辺りの西谷の表情がとても良くて、ビリケンさんへの想いが伝わってくるようです。
そこへ、後戻りできない現実に身体を震わせながら現れ、すぐさま西谷に拳銃を向ける警察官。独り言のように呟き始めますが、なんのことはない、お金に負けた自分を正当化しているだけです。ビリケンさんから賄賂を貰っていた奴が、ビリケンさんの100倍くれると言う『羽振りの良い東京の人』に買われたというお話。そしてこの警察官、詰めようとする西谷にも発砲。
このシーンでは、雨の蒼天堀川で桐生がホームレス然とした男に刺されるシーンを思い出します。『龍が如く極2』かな(ストーリーに関わる部分なのでオリジナルでも同じかとは思うけれど)、強靭な人間が、なんてことはない瞬間になんてことのない奴に・・・というところで重なるのかな。
自身の状態が良くない事を悟ると、両手を広げ、真島さんと警察官の間に立ちはだかる西谷。このシーンでの西谷の言葉は、さながら辞世の句。何かを伝え遺したくなるような、そんな気持ちになるくらい真島さんを気に入っていたのかな~と、なんだかそんなふうに感じます。そして真島さんも、しっかりそれを受け取った。ここが、真島さんの中でこれから起こる、変化のきっけかになった気がするんですよね。ほんのわずかな西谷との時間が、真島さんに大きく影響している。
西谷の言葉が途切れると、自棄を起こしたように、西谷に向けて拳銃を連射する警察官。既に致命傷を受けているであろう西谷ですが、真島さんが自分に聞かせた、自分をも動かした思いを遂げるよう、更に真島さんに叫びます。
真島さんとの出会いから、ビリケンさんが倒れ、自分の命も尽きようという天国から地獄へ真っ逆さまの今、目の前で見苦しく命乞いする警察官をここで止め、真島さんを生かす事。西谷は、これを自分の最後の仕事と決めたのかな。
全弾をその身に受け、それでもその腕を下ろすことなく自分に叫ぶ西谷に、顔をしかめ、こらえながら走り出す真島さん。その後ろでは、ついには腰を抜かして後ずさる警察官に、立っているのも不思議な西谷が尚も迫ります。決して足を止めない西谷と、その表情から、『命が燃える』という言葉が連想されました。
1度は振り返りながらも、覚悟を決めた真島さんが扉を開けて走り出すと、扉の閉まり際にあがった警察官の悲鳴を、閉まる扉が遮断します。
このシーンはどこをとっても印象的ですが、扉が閉まる瞬間に、様々な意味が重なっているようにも感じられます。
出会いと別れがあっという間ですが、『龍が如く』シリーズの中で最も好きな2人。
ここで、『第十一章 ドブ川の底』終了。各章をクリアすると、そのチャプターで稼いだ金額と、その金額を物に換算した、『小型プライベートッジェット ○○円 ○機分』というようなチャプターリザルトが表示されるのですが、この辺りから笑えなくなります。
タイトル: 龍が如く0 誓いの場所
公式サイト:龍が如く0 誓いの場所 公式サイト
