クックとマックのおうちへお宅訪問し、ベッドに寝たきりのお母さんにご挨拶。クックとマックがカイム一行をお母さんに紹介すると、嬉しそうに3人に視線を移そうとしたお母さんでしたが、彼女の目がカイムを認めた途端、様子が変わります。何かを思い出したような一瞬の後、目に涙を溜めてカイムに手を伸ばすお母さんに、一同、ちんぷんかんぷん・・・。「・・・あの花が・・・もう一度、会わせてくれた」と呟く、2人の母親。すると、それまで怪訝そうにしていたカイムが、その言葉に応えるように、自然とベッドへと近づいてゆきます。瞬間、カイムの頭の中に、見覚えのある映像が流れ込んできます。
崖端に立ち、こちらを振り返る少女。あれはカイムの過去を映していたのか、以前にも見た少女の表情が鮮明になり、クックとマックの母親の瞳が重なります。
「・・・花が・・・会わせてくれたのか」。カイムの記憶が蘇ったようです。このシーンは特別のようにも感じるので、他の記憶と一緒くたにするのもなんだかなぁというところですが・・・段々と、記憶を取り戻した時のカイムの反応が面白いことになってきたのが気になりかけています。
クックとマックの母親が、カイムを「お父さん」と呼ぶと、流石のセスも驚愕します。ヤンセンに至っては、驚き過ぎて「お父さん」という言葉を言い切る事さえできません。
クックとマックの驚き方もなかなか性格が出ていて好き。驚き過ぎて固まるマックと、全開の表情で驚きを見せるクック。もうね、親子のような兄弟のような反応を見せるクックとヤンセンを、固まるマックが強調しているようで可笑しくて愛しい。
一同の驚きをよそに、「リルム・・・なのか?」と、カイム。『リルム』とは、以前、随分とうなされて口にした名前でした。
満足そうな表情を見せるクックとマックの母親の手を、両手でしっかりと握ります。
なんと、2人の母親はカイムの娘。あれはカイムの過去の記憶だったんですね。え・・・カイムっておじいちゃ・・・? リルムの手を握ると、何かが憑依したかのように身体を仰け反らせ、一瞬の後、苦しむような叫びをあげながら項垂れるカイム。
一連の流れとカイムの挙動に驚きを隠せない一同。セスが驚くことをヤンセンが驚かないわけもなさそうだし、クックとマックも、カイムが自分達のおじいちゃんである事は理解していそうだし・・・。
一同、驚きというよりも困惑が割合で優っていそう。なんだかパンクしそうですが、「お父さん!」と、リルムが再び口にした声をトリガーのように、更にカイムの記憶が映し出されます。今度は、崖端に居るのはリルムだけではありません。
頬を涙が伝うリルムとは対照的に、厭らしい笑い声を残して消える人物がありました。ガンガラです。
急いで駆け付けたらしいカイムと、奥さんらしき女性。自分を呼ぶ声に、2人の方を振り返るリルムでしたが、なぜか後ずさりしていきます。リルムが居るのは崖の先端、背後には海が迫っています。カイム達はリルムの名を呼びながら走り寄りますが、リルムは自ら、海へと進んでいってしまいます。
カイムの手は最後までリルムへと伸ばされますが、髪の先を掠めそうになりながらも、間に合わず。顔を覆い立ち尽くす女性の姿を映し、カイムの記憶の再生は終わります。白昼夢を見ているような状況から覚め、「生きていて・・・くれたんだな」と、やっと実感できたようにリルムに声をかけるカイム。リルムも肯いて応えます。
これにはセスも思わず言葉を漏らします。「カイム、あんた・・・記憶が」。記憶に関する言葉を、ヤンセンより先にセスが口にしたことに少し驚きました。記憶が戻ったのか確認するのはヤンセンの担当で、そのたびにセスのお小言を頂戴していましたもんね。何か考えるように俯いた次の瞬間、ヤンセンに鋭い視線を向けるカイム。
「なんだよ・・・なんで俺を見るんだよ」なんて、慌てるヤンセンなのでした。せっかく今回は黙っていたのに、お気の毒。
さぁ、カイムのこの視線の意味は・・・というところで、今日はおしまい。
タイトル:ロストオデッセイ
