クックとマックの母親、リルムとの対面をきっかけに、また少し記憶を辿ったカイム。 『リルム』とは、カイムがうなされて口にした名前でしたが、なんと、カイムの娘。もちろん、一同驚愕です。しかし、記憶の再生が終わると、カイムは厳しい表情でヤンセンを振り返ります。突然の視線とカイムの表情に、動揺するヤンセン。
「ガンガラだ。ガンガラが・・・いた」と、記憶の中、崖端に立つリルムとともにガンガラが居た事をセスとヤンセンに伝えるカイムですが、2人もなんだか複雑な表情。
『お父さん』という言葉には驚いていたセスですが、同じ不死者ですから、彼女は何か知っているかもしれない。でも、ヤンセンはどうだろう。
そういえば、ガンガラが不死者に執着しているように感じる描写もあったし、出立の前日には、カイムもガンガラの屋敷に呼ばれたりしていましたよね・・・さて、カイムの手を借りて上体を起こすリルム。信じられない事が起こっている今、横になっているわけにもいかないのでしょう。
「会いたかった・・・ずっと」と、リルム。彼女は不死者ではないようだし、ずっと記憶を抱えたまま生きてきたのかと思うと、「良かったねぇ」では終われない複雑なものを感じます。
助けられなかった事をカイムが詫びると、首を振って応えますが、「お母さんは・・・」と、続けるリルム。しかし、その言葉をきっかけに記憶のもやが晴れたカイムは、「わからない。あれっきりだ」
記憶の中、崖から落ちてゆくリルムに、カイムとともに手を伸ばす女性が居ましたが、これがリルムの母親、『サラ』
思い出した瞬間、「お前に、サラを会わせたい」なんて、自然と口にするカイム。嬉しそうにも見える表情で、それでも、「もう時間がない」と答えると、「クック、マック、いらっしゃい」と、2人を呼び寄せるリルム。
リルムは、ずっと2人に話して聞かせていた『2人のおじいさん』がカイムである事を、クックとマックに伝えます。
言葉を区切りながら、丁寧に2人に伝えるリルム。「2人は、お母さんの大事な大事な、宝物」「2人がいたから、頑張ってこれた」
そして、カイムに視線を移すと、「お父さん・・・クックとマックを、お願いね」
声を出すのも辛そうですが、どうしても伝えておきたいリルムの気持ちが伝わって来るようです。「ああ・・・」というカイムの答えを聞くと、「ずっと・・・言いたかったことがあるの」と言うリルム。彼女の口元に、カイムが耳を寄せます。
『カイムにだけ聞こえる』描写ですが、とたんに、カイムの目から涙が溢れます。「わかってる。わかってるよ、リルム」
安心したのか、ついに、リルムは力尽きたようにベッドに上体を戻します。「よかった・・・本当に、よかった・・・お父さんに、会えて」
子供達と、奇跡的なことに、父親まで見守る中、眠るように最期を迎えるリルム。
「必ずサラを連れてくる」「生きろ、リルム!」。最後まで声をかけ続けるカイムと、母を呼び続けるクック。
俯いたまま、何かをこらえているようなマックでしたが、ついに、大きな声を上げて泣き出してしまいます。兵士たちとのシーンでも、エコーがかかったような特徴的な声を大きく発したマックに驚愕しましたが、何か力があるのかな。
リルムにとっては幸せな最期かとは思いますが、クックとマックにとっては、幼くして両親を亡くした瞬間です。同時に、おじいちゃんとは出会えたけれど・・・
そして、ものすごい巡り合わせで、カイムの家族の奇跡的な瞬間に立ち会ってしまったセスとヤンセン。少し離れて見守っていましたが、ヤンセンはもう、直視できていません。
対してセスは、ここでやっと視線を外して息をつきます。降り出した雨が窓を叩き、リルムの死を悼んでいるような、家族の再会を祝福しているような。
いつの間にか雨はやみ、さっきまで雨粒を受けていた窓が、立ち上がるカイムを映したところで、今回はおしまい。
なかなか情報量の多いシーンでした。クックとマックだけをここに残すわけにもいかないだろうし、どういう流れになっていくのかな。ここまで、大きく表情を崩すシーンがなかったせいか、カイムの表情に驚きながら観進めたシーンでした。
タイトル:ロストオデッセイ
