桐生を撃ち、常人とは思えない動きでビルの屋上から下りてきた男は、『殺し屋 老鬼(ラオグゥェイ)』でした。
今作は、桐生が「カラの一坪」での殺しの濡れ衣を着せられたところから始まりますが、その殺し自体、警察の目を疑いなく桐生に向ける為のプロの仕事であり、この男にはそれが可能だったはず、と立華は語ります。
桐生と共に身を隠す立華に、「お前を殺せとまでは言われてない」と、呼びかけるラオグゥェイ。 ここで立華は、桐生を逃がす為の、ほぼ唯一の選択をします。
落ちていたガラス片を拾うと、ラオグゥェイの前に出ていく立華。
撃たれたせいで満足に動く事もできない桐生は、立華を止めることさえできません。
ラオグゥェイに向き合うと、自身の首元にガラス片を当てる立華。相手の目的が自分の生け捕りであることを利用して桐生を生かしたのでした。ラオグゥェイの目的は立華だけのようでしたが、念には念を。いくらか言葉を交わすと、桐生から離れるように立華が歩き出し、ラオグゥェイもその後に続きます。
後を追おうとするも立ち上がることさえ出来ず、階段を這いあがったところで力尽きたように意識を失う桐生。唯一と言える選択であったことがわかっていても、桐生にとっては非常に酷。為す術なく打ちのめされてばかりで、見ているこちらも苦しくなるな~。
ベッドの上で目を覚まし、手当てまでされていることに気付くと、驚いた様子で身体を起こす桐生。ベッドの近くに腰かけている陳さんの姿を認めると、やっと口を開きます。
ラオグゥェイの一件からおよそ3時間。現在、亜細亜街の人達が立華の行方を探っている最中だそうです。続けて、立華がここで透析を受けていることが渋澤に筒抜けだったこと、それを漏らしたのが尾田であろうことを知らされます。「尾田は渋澤のイヌだった」と表現する陳さんはもしかして、桐生が尾田とともに陳さんの店を訪れた時には既に、尾田の裏切りについて知っていたのかな。
立華の居所が確実につかめるかは約束はできないとしながらも、立華を亜細亜街顔役の後継者にと考えていたことを明かす陳さん。手を尽くしていることが伝わってきます。 どうしても、「亜細亜街の同胞の為に必要な人間を失いたくない」という印象を強く受けるけれど、助けてやりたいというのも本心なんだろうな。
ここで、「カラの一坪」の成り立ちを桐生に話して聞かせる陳さん。 「カラの一坪」は、立華とマコトの祖父が持っていた土地の一部。戦後、土地を手放さざるを得なくなった時、同時に4人の買い手と交渉して土地をバラバラに分割して売ったという記録が残っていたそう。 生き別れた娘が自分を探した時、再会の目印になるように、意図的に一坪だけが自分の手元に残るようにしたのではないか・・・と、これは陳さんの想像。生き別れた娘というのが、立華とマコトの母親です。
立華とマコトの祖父の本心はどうであれ、子を想う親の気持ちが、子の子がヤクザの争奪戦に巻き込まれる原因となり、結果的には危険に晒す現在に繋がってしまったのでした。陳さんの言う通り、悪いのはヤクザなわけですが。 そして、ここなんですよね、マコトが桐生に話した事で疑問に思ったの。マコトは「祖父が優しく迎えてくれたのは最初だけ」というような事を言っていたのですが、娘との再会を願って土地を遺した人が、言葉が通じない事を理由にコミュニケーションを放棄するかなぁと・・・まぁ、実際には簡単な問題ではないのでしょうけれど。
さて、堂島組に拷問にかけられているであろう立華をなんとか助け出したいけれど、亜細亜街の存亡を考えると、陳さん達が直接関与するわけにはいきません。
ここまで聞くと、桐生ですから自分が行くと言い出すわけですが、「その為に手当てしたのだから、どれだけ傷が痛もうがやってもらうほかない」と、きっぱり言い切る陳さん。亜細亜街と堂島組の歴史を聞かされていますから、こうして穏やかに桐生に相対してくれるだけでも有難いことですよね。
タイトル: 龍が如く0 誓いの場所
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